• 木. 11月 21st, 2024

サーキュラーエコノミーのミカタ〜リサイクルのもっと先へ

サーキュラーエコノミーってなんだ?

現在の大量生産、大量消費、大量廃棄に対するカウンターエコノミーとでも言うのが良いでしょうか、いわゆる「循環型経済」です。

環境問題や持続可能性、労働環境などに意識の高いヨーロッパで広がりを見せている経済モデルです。

分かり易く簡略化していますが、実際は生産・消費・リサイクルのそれぞれのプロセスの中でも小さい循環が行われます。

例えば古くなった車を部品レベルに分解し、再利用/修理/変換などにより新たな製品を生み出すわけです。

そのまま使える部品は生産ラインへ戻り、修理が必要なパーツは修理され生産ラインへ、修理できないものは溶解し新たな部品へと変換され再び生産ラインへ。つまり今まで廃棄されていた物を、再評価/再構築し「資源」としてサイクルの中へ再び組み込むわけです。

環境と経済を両立させるビジネスを考える際、参考になるのがアクセンチュアの5分類です。

  1. 再生型サプライ:100%再生/リサイクル可能、または生物分解が可能な原材料を用いる。
  2. 回収とリサイクル:現在の廃棄物を、他の用途に活用することを前提とした生産/消費システム。
  3. 製品寿命延長:製品を回収し保守改良で寿命を延長し、新たな価値を生み出す。
  4. シェアリング・プラットフォーム:AirbnbやLyftのようなビジネス・モデル。貸し借り、共有、交換によって、より効率的な製品/サービスの利用を実現する。
  5. サービスとしての製品: 製品/サービスを利用した分だけ支払うモデル。 顧客への製品/サービスの提供がもたらす成果を重視する。

実践している社会

サーキュラーエコノミーの先頭を走るのは、恐らくアムステルダム(オランダ)でしょう。2015年、行政主導で推進する宣言をし循環型社会実現に向け邁進しています。

上記アクセンチュア5分類の具体例を見てみましょう。

1・Fairphone  部品交換可能 紛争レアメタルの排除 公正な労働条件 フェアトレード 古くなったプラスチックケースを回収しプラスチック椅子に再構築etc

2・Makers Unite  難民が着用したライフジャケットを、廃棄ではなく再生。バッグなどに作り変え販売。作り手として難民を雇用し、企業が本来担うべき「社会貢献」を目に見える形で実現しています。

3・IKEA  ご存知イケアもサーキュラーに積極的です。内容は多岐に渡るのでリンク先でご確認を。

4・Airbnb  いわゆるシェアリングエコノミーですね。所有している人が使用権を時間貸しする事で、所有物の利用効率の最大化を目指すわけです。

5・MUD jeans  こちらはリースジーンズです。所有権から使用権への移行ですね。

日本ではLinksの様なリユースサービスはかなり増えてきました。また行政においても子供服のリサイクルは全国の市区町村で広がりを見せています。コレは各世帯の経済状態の悪化に伴い、国政に期待できない現状を個人や地方自治体で共助を始めたという事です。

政府と経団連の「廃棄物を増やす事が、株価を上げ経済を拡大させる」という昭和のメンタリティに対する、国民の出した答えと言っても良いでしょう。こう言ったムーブメントが、日本国内で多くのスタートアップを産み、社会貢献度の高い企業が増え、本当の意味での共存共栄が永続性を持つ社会に育つと良いのですが。

ただ超えなければならない壁も・・・

日本でサーキュラーエコノミーを拡大する上で、一番障壁となるのは「見える化」です。コレはサプライチェーンに於いて、仕入先や下請けに対する不当な圧力、労働者への過剰労働、不公正な賃金、環境への高負荷などが無い様に全てオープンにする事です。

「サスティナブル」がベースの思想であるサーキュラーエコノミーに於いて、そのサイクル内で一部が儲かり、他にその皺寄せがくるというのは絶対にあってはならない事です。

残念ながら日本では、政府も大企業も己の利益を最大化する事にしか興味がありません。「今だけ、金だけ、自分だけ」ですからね。都合の悪い文書は、廃棄や書き換えすら平気でしますし、税金逃れも全く意に介しません。この国で「社会全体の利益」や「地球環境の保護」など未来の幸福を作り上げる為に必要な「見える化」を実現するのはなかなか大変です。少なくとも既存大企業では不可能と言わざるを得ません。

逆に言えば、こういう新規企業が多数生まれて成長すれば、「既存エコノミーグループ」とは別の「ニューエコノミーグループ」として市民権を得る可能性はある、という事でもあります。それは労働者にとっても、そちらへの就職の方がメリットがあります。下請け企業にとっても、大企業の下請けよりも不当な扱いは受けません。消費者も自分が商品やサービスを購入した事で「誰かの労働環境を良くした」とか「環境負荷を減らせた」とかデータを確認でき貢献を実感できます。サイクルの歪みが少なく、関わる誰もが満足度の高い社会の構築こそが永続性を生むのです。

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