毒薬、ISDS条項。 アメリカとのFTA交渉には、ISDS条項が確実に盛り込まれます。韓国の様に一方的なものになる可能性もあるでしょう。「ISDS条項は誤解されていて、本当は毒薬でもなんでもない」と力説している右翼サイトが多々ありますが、気持ち悪いです。先進国間も含め、様々事例もあるのに全く現実を見ていません。現在は本来の使われ方以外に、一部の弁護士と企業の結託で悪用されているのが実情です。 ISDS条項とは 元々は海外へ進出した企業が、その国の政府の方針変更などで不利益を被った際に、訴訟ができる様にするものでした。しかし現在は、ハゲタカ金融機関などが現地政府に難癖をつけて、暴利を貪る為のATMと化している一面があります。 しかもNAFTAなどで実際に行われた訴訟をみると、アメリカ側が訴えられた訴訟でアメリカの敗訴は1件もありません。 理由は簡単で、まず訴える際には3つのパターンがあります。ICSID、UNCITRAL、当事者合意の3つの仲裁規約からどれかを選びます。ICSIDの本部はワシントンDC、UNCITRALはアメリカが牛耳っている世界銀行の下部組織。あとは当事者合意ですが、どれを選んでも大差はないです。何故か・・・。 仲裁は企業側、国側、両者合意の民間弁護士3人で判断されます。しかしこの手の訴訟に精通している弁護士は少なく、実質的に3つの弁護士事務所が君臨しています。 アメリカのホワイト・アンド・ケイスとキング・アンド・スポールディング。それとイギリスのフレッシュフィールズ。しかもこれらの事務所は密に連絡を取り合う関係です。 つまり日本がアメリカ企業に訴えられた場合は、十中八九負けます。 それって必須なの? 危険性を認識したオーストラリアやボリビア、南ア、エクアドルなどISDSを組み込んだ貿易協定にNOと宣言した国もあります。しかし現在の自民党が、アメリカの要求を拒否する可能性はまず無いでしょう。 実際公共事業への入札や、食品の安全基準の低下など様々なものが動き出しています。選挙前に安倍首相がトランプ大統領に、かなり大きなプレゼントをしている様ですしね。 実際被害にあった国ってあるの? 残念ですが多数あります。いちいち挙げたらキリが無いので・・・ 興味がある方は代表的な所はwikipediaで確認できます。 一応言っておきますが、ISDSを全面的に悪いものだと言っているわけではありません。本来の使い方であれば両国にとって有益です。ただし非常に大きなリスクも孕んでいることを、政府は国民に知らせる義務があるのではないでしょうか? ラチェット規定 ISDSと共に危険が噂されるのがラチェットです。ラチェットは「つめ車」の事で、一方向にしか進まない歯車です。そこから経済用語としては自由化・緩和へ動かしたものは、規制強化への変更はできないというものです。TPPやFTAで民営化や規制緩和、関税撤廃したら、後々不利益が発生しても元には戻せないという事です。ですから最初に大きな譲歩をしてしまうと、取り返しのつかない事になるのです。現在の安倍外交においては、トランプの言いなりと言っても良い状況ですので、非常に危険度の高い規定となるはずです。仮に政権交代しても、この現政権の負の遺産に悩まされ続ける可能性は高いでしょう。 Share the love!! 投稿ナビゲーション 増税後のミカタ〜どこへ消えた? 障害者のミカタ〜疎外感の常態化