改憲案ですが実はのっけから主語が「日本国民」から「国家」にすり替わっています。つまり「主権者である国民が憲法を制定し国家を作る」という近代民主国家の基本すら引っ繰り返し「国家が憲法を作る」つまり国民よりも国家・政府を上にしているのです。そう言えば以前国会で「私が国家です」と言い放った人がいましたね。
また「過去の戦争」についての記述も有りますが、1941〜1945の太平洋戦争だけを取り上げ、被害者ヅラした記述に終始しています。そこには自国が犯した多くの戦争への反省など一欠片も見当たりません。
「後悔は過去を変えようとする事、反省は未来を変えようとする事」
という言葉が有ります。歴史修正主義の現政権において改竄・隠蔽・隠滅など何とも思わないという姿勢が、この改憲案にも如実に表れています。しかも改憲草案によると、3・11や福島の原発問題はもう乗り越え発展している事になっています。
「国と郷土を誇りと気概を持って自ら守る」こんな記述も有ります。つまり「御国のために命を捧げなさい」という事です。更に憲法が国民を保護する「基本的人権の尊重」に至っては、自民党の草案では「自分で自分の人権を尊重しろ」と憲法に命令されるシュールなコントになっています。政府への反発を戒める記載も見受けられます。皆さんはお気付きでしょうが、言論の自由は既に統制が始まっていますよね。総理に対するヤジは逮捕されちゃいますからね。メディアも政府批判をすれば「放送できなくする」と脅されます。
草案前文に於いて一貫しているのは「国家>国民」「自助共助」「戦争肯定」「国権論」「自由弾圧」と言った所でしょうか。
現行憲法「国民の人権を守り、平和や平等を目的とする為に、国民が憲法を制定し国家という統治機構を形成する。」
自民党草案「国家の存続を目的とし、その為に国民は全てを捧げる必要がある。憲法は国家の為に有り、国民は国家を維持する為の手段である。」