働き方改革のミカタ

2019年10月3日

安倍政権の掲げる「働き方改革」。皆さんはどの様にお感じですか?私は現政権らしいなと思います。「一億総活躍」などとふわ〜っとした耳障りの良い言葉の下、掲げているのは「労働者を増やす」「出生率を増やす」「生産性を上げる」この3本柱です。

労働力を増やす

まず思い浮かぶのは外国人労働者「移民」の受け入れですね。次に女性の活躍、そして高齢者の雇用です。文書で見ると良さそうに見えます。しかし中身を見てみると・・・。

移民の受け入れは様々な問題を内包しています。労働者の増加は、買い手有利つまり企業側有利へと動きます。賃金上昇を抑制する事に繋がるのです。また日本人や既に日本に住む外国人との仕事の奪い合いや文化的・宗教的対立も当然勘案する必要が有ります。何より最低賃金にこれだけの地域格差がある以上、都市部は人余りで地方は労働力不足が加速します。

女性活躍は素晴らしい事ですが、政府の対策が余りに表面的過ぎてお粗末です。幼児保育無償化と言いつつ、2歳児までは対象外。3-5歳児は無償化ですが上限が有り、給食など逆に手出しが増える人や、そもそも各地で便乗値上げまで多発しています。また育休についても、従業員1000人以上とそれ以下の企業で格段の差があります。そもそも教育や介護の分野は、政府がもっと積極的に取り組むべき業界です。こんな小手先の話ではないはずです。「子供は夫婦で協力して育てる」こんな当たり前の事ですら、旧態然とした日本のシステムでは成立しません。長期の育休を取れる男性がどれだけいるでしょう?育児は女性だけがする物ですか?家事はどうですか?これは社会全体のシステムと意識の問題なのです。

高齢者も働く意欲と体力がある人は、元気に働く事はプラスでしょう。しかし「もう一生懸命働いたし、老後は趣味や旅行を楽しみたい」と思う人はどうでしょう。コレって贅沢ですか?つまり何が言いたいかと言うと、政府は使い込んだ年金を出来るだけ払いたくないわけですよ。その為、支給額を減らし、支給開始年齢を遅らせ、「総活躍」と言ってるに過ぎないのです。納税者を増やし、消費税を増やし、「死ぬまで働き、納税せよ」と号令をかけているだけなのです。

出生率を上げる

「産め!産め!」と言って出生率が上がるなら、政治家は必要ありません。

出生率を改善に向かわせた国も勿論あります。そういった国々で行われている施策は、やはり出産・育児・教育の無償化や、出産によって女性が不利益を被らない体制作りに投資を惜しんでいません。国民は「納税者」であり「労働者」であり「消費者」であると言う至極真っ当な視点での対策です。

父親、母親共に同じ様に育休を取れたり、母親の休職中の手当や復帰の権利保護、保育施設の充実、男女共に協力した育児の為に企業サイドの残業への意識改革など日本では課題が山積みです。体力のある大企業だけしか実行出来ないじゃ意味がないのです。

出産・育児に関して書きましたが、統計的には結婚した夫婦の出産率はほとんど変化がありません。つまり実はもっと大きな問題が有り、結婚自体出来ない人が増えています。正社員になれない、給料が上がらない、親の介護をしている、経済的に自分1人生活するのでやっと、老後が不安、そんな人達が結婚や出産を考えるのは不安しか無いでしょう。残念ですが、現政権はこうした人達を「お荷物」としか見ていません。

生産性の向上

この「生産性の向上」が実は最大限注力すべきポイントです。先進国の中でも日本はダントツで生産性が低いです。長時間労働や統計には出ないサービス残業は当たり前、非正規雇用は40%超え、実質賃金の下落は止まらず、目も当てられません。

政府は「同一労働同一賃金」と言い始めました。コレは例えば“ベテラン非正規社員より新卒正社員の方が所得が多いのは是正すべき”と言う話です。それに対する経団連の答えは「新卒正社員の給料を下げて、非正規に合わせる」と言うふざけた対応です。コレではデフレから抜け出すなど夢の話です。

本来、技術革新に依って労働量を減らし、生産量を増やし、利益を増やし、所得を増やし、個人の時間を増やし、消費を増やし、税率を上げずとも税収を増やし、国は公共投資を増やし、雇用を増やし・・・と連続性を持たせる事が生産性の向上の肝です。

ところが現在は、長引く所得の減少で消費が冷え込んでいる所に更なる増税です。つまり

国民が政治によって貧民化された為に、節約による需要の減少が供給を減らし、利益を減らし、所得を減らし、副業や共働きで家族の時間を減らし、消費を減らし、増税しても税収総額は増えず、国は財政支出を減らし、低賃金非正規雇用者を増やすという冗談の様な事をやっているわけです。

働き方改革の正体

現実には電車で例えるとわかります。実際に現政権が目指している姿です。

つまり貧しい乗客(労働者)を増やし広く運賃(税金)を集め、老朽化した列車(インフラ)で少しでも多く詰め込む(効率化)為に、痩せさせ(貧困化)座席もエアコンも外して(緊縮財政)、石炭列車(環境破壊)で走っているわけです。この先の線路が壊れていても、勿論自己責任です。

実際に目指すべきはコチラのイメージでしょう。働き方改革によって、国民生活を時間的にも経済的にも余裕のある状態にする気があるのならば。

生産労働人口が減少しても、生産性が向上し所得を増やせれば税収はある程度確保できます。つまり労働人口が減る分、政府は所得を増やす施策を取らなければならないのです。安い労働力や高齢者、共働き、そうやっていつまでも労働人口を増やす事しか考えない、馬鹿げた発想から脱皮しなければ、石炭列車で脱線です。

付け加えておくと・・・

国際的に女性の活躍しにくい国というのは、経済合理性の低い小規模の企業が多い国というのが常識です。つまり中小零細企業の労働者が9割の日本の産業構造が一つのネックになっています。この構造自体を変える事は私は反対ですが、会社の規模によって国の施策が行き届かないというのは、やはりおかしいと思うのです。これではどんな施策も生産性向上には結びつきません。こういう事を言うと、中小企業基本法を持ち出し「中小企業は優遇されてる」と言う方がいます。であるならば、現在の大企業に対する優遇措置も含めた複合的な見直しのタイミングなのかもしれません。下請けが不利な状況にならない様に手を打つ事ができるのは政府ですから、真剣に中小零細企業が生産性向上や労働環境改善に取り組める仕組み作りが必須だと感じます。そこを抜きにして「働き方改革」など有り得ない話です。

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