現在の日本に於けるセーフティーネットは「生活保護」です。皆さんは「生活保護」と聞いて何をイメージしますか?あまり良いイメージを持たれない方が多いのではないでしょうか?中にはTVの影響で「不正受給」をイメージされる方もいらっしゃるのでは?
実は皆さんのそうしたイメージが大変な問題を起こしています。
不正受給の割合は調査によって0.45%と公表されています。実際はもう少し多いとは思いますが、仮に10倍だとしても4.5%です。また生活保護を受給する事で①車の保有禁止②目的不明の貯蓄禁止③家庭訪問など家庭への干渉、等々様々な制約が発生します。その上で周囲からの偏見の目に晒されるわけです。なかなかハードル高めです。
その為、本来なら受給要件を満たしているのに、周囲からの目を気にして受給しない人達が大勢います。大勢とはどの位か・・・何と8割です。
これではセーフティネットとしての役割を果たせていません。
MMTとセットで語られるJGP
JGP(ジョブ・ギャランティー・プログラム)これは雇用の受け皿を行政が用意する施策です。失業などした際に、現行制度では失業給付を受けてその間に求職活動を行います。この「働けるのに仕事が無い状態」は社会全体にとっては損失ですよね?なので行政がバッファとして最低賃金で雇用を用意するのです。
景気が悪くなれば失業も増えますから、国がただ給付をするのではなく最低賃金で仕事を給付するのです。当然政府支出は増えるので景気の下支えになります。
景気が良くなれば条件の良い求人も増えますから人は民間に流れます。そのぶん政府支出も減り景気過熱を抑えます。
業種の選別は必要ですが、教育・介護・医療など人材不足が叫ばれる業界であれば安定的に需要があるでしょう。
ベーシックインカム(BI)
ベーシックインカムは、毎月平等に国民にお金を給付して最低限の生活を保証しようというものです。
これに関しては「労働意欲が削がれる」という意見があります。実際には、なるべく自分の好きな事で「ゆとり分」を稼ごうとします。つまり生活の為ではなく、やりたいことの為に働く様になるのです。判りやすく言えば「仕方なくする仕事」から「やりたい仕事」を選択できる人が増えるとも言えます。
実際、AIや量子コンピューターなど劇的に生産性を向上させる技術が拡がれば、当然人間の仕事は減ります。就業時間も減少するかもしれませんね。職自体も減るかもしれません。
セーフティーネットにもなりそうですよね。
組み合わせたらどうでしょう?
こう言った施策は「これだ!」という絶対的答えがある訳では無いと私は思っています。イイトコ取りでも良いのでは?例えば
本来ベーシックインカム(BI)は「全国民給付」の考え方ですが、これを完全に年金と置き換えるのです。
現在の年金制度は、国民や企業から集めた資金と国庫からの資金に依って賄われています。当然受け取る年金にも格差が生まれます。これを「老後の年金」については、個人や企業から集めるのでは無く、国債発行で国が平等に同額分配したら良いのです。
生産労働年齢ではJGPで零れ落ちる人をカバーし、その上で自由競争を促す。老後の生活が最低限保証される事で、この世代の個人消費/結婚/出産も促進が期待でき、それは企業業績にも大きく寄与します。内需を喚起しない限り、現在の多くの問題は解決しないと思うのです。
そして「ベーシックアセット」。医療は無料が基本だと思います。入院時の食費や洗濯等は実費、特殊な高度医療については一部自己負担程度にして、民間保険はこの自己負担分に対するモノだけにすれば良いのです。「医療」や「保険」を外資に食い荒らされるのは看過できません。
教育についても、国公立については入学金/授業料/給食費無料にすべきです(保育〜高校まで)。大学については権利として国民1人1回のみ国公立は入学金/授業料無料として良いのでは。勿論、入試に合格する事は勿論条件ですが、何歳であっても自身が学びたいと思った時に学べる環境がある事は重要です。
次回は財源について書きましょうかね・・・。