FTAで起こる事①

2019年12月4日

「関税撤廃?輸入品が安くなるんでしょ、いいじゃない!」と思われる方も結構いる様です。ニュースでは「牛肉が安くなります」「ワインが安くなります」とあたかも良い事の様に喧伝されています。

では1つ例を考えてみましょう。

あなたは米国のトウモロコシ農家です。遺伝子組換えと大量の農薬、大規模農場で安いトウモロコシを作っています。今までは関税の影響で、日本へ輸出しても割高になり日本の消費者には買って貰えませんでした。

ところが日米FTAが締結され関税が撤廃されると、日本のトウモロコシよりもかなり安く販売できる様になりました。お陰で飛ぶ様に売れます。気付けば日本のシェアをほぼ独占するまでになっていました。つまり日本のトウモロコシ農家はほぼ壊滅したのです。

あなたは気付きます。「ライバルがいないんだから、値上げしても売れるよね」と。そして以前、流通していた国産トウモロコシよりも高い値段で売る様になりました。しかし国内の農家は廃業してしまった為、日本はこの理不尽を受け入れるしかありませんでした。

あなたは大儲け。日本国民は危険な食物を高い値段で買う羽目になりましたとさ・・・。

日本に一切得のない条約

この不平等条約の鍵は「トヨタ自動車」です。

自民党への企業献金トップは「トヨタ自動車」です。業界団体献金トップは「日本自動車工業会」です。これ以外に個人献金もあります。

今回「自動車関税を上げるぞ」と脅されただけで、その他の全てを差し出したのです。

現政権のトヨタへの寵愛ぶりは異常です。税制優遇や補助金などトヨタの為なら何でもするつもりでしょう。世界がEVへシフトする中、水素に向かったトヨタに対しかなりの公金を注ぎ込んだのは有名な話ですね。

この「日米FTA」国民にとってかなりマズイ話なので、個別の例を挙げつつ今後も短編記事に挙げて行きたいと思います。

追記:リカードの比較優位を持ち出したコメントを頂いたので、ありがとうございます。まず前提として当ブログは一般の方向けに、政治や経済の話を専門用語を排除しイメージし易い話で伝える目的で運営しております。

もし日本人の実質賃金が低下しておらず自由に選択できるのであれば、高くとも和牛を選ぶ方も多いでしょう。しかし現実には安い輸入肉を買う人が多い。選択の自由は見掛け上は存在するが、実際には経済的選択余地が無くなっている人の割合が高くなっています。その結果として実際、採算が合わずに廃業に追い込まれる一次産業の方は多いわけです。それは国民の貧困化によって齎されている実情です。その上関税の撤廃によって、国産物が輸入肉より更に相対的に高くなれば国内産業は益々疲弊します。

何故、日本だけが20年もGDPが増えずデフレから抜け出せないのか。その根本原因の一つは、内需国で有りながらその市場を海外資本に野放図に晒しているからです。それでも国民所得が高ければ、高い国産品を選ぶ事もできますから、ある程度保護できます。しかし現実には高くて買えない世帯が増加しているのですよ。その結果が上図の自給率からも明らかです。

その上で、農業と工業製品でトレードオフできる、なんて事も有りません。アメリカは貿易収支の赤字を減らす為に、今回のFTAに臨んでいます。日本からの輸入を増やす理由などはなから無いのです。自由貿易と言う言葉自体が、今の隷従を余儀なくされている日米間では搾取に置き換えられ得ると思います。

またFTAは2国間の条約ですが、実際には他国とも同じ種類の商品(ここで言えば豪州の牛肉など)を取引するわけで、それらとの競争もあります。リカードの比較優位自体は正しいですが、前提条件がフラクタルな上に、マトリックス構造の現実の世界で常に当て嵌まるものではありません。そもそも米国が日米両国の利益を最大化しようなどと思ってはいないわけで、総取りを目論む国との間で本質的自由貿易などあり得るのか甚だ疑問です。

食料自給率の低下は、安全保障問題にも直結します。先進国(もはや衰退途上国などと揶揄する声も出ていますが)で食料自給率に注視しない国は、極めて弱い立場に追いやられる事は意識する必要があるでしょう。また一番の問題は国内シェアを奪われ、廃業し技術の継承が途絶える事です。それは「供給力の毀損」であり国力の毀損でもあるのです。簡単に復活できるものではありません。

余談ですが、近年日本で作られる野菜類が輸出された先の検疫で引っかかり、大量廃棄される事案が多くあります。理由は農薬を多く使用している為だそうです。日本では安全な食品の生産すら、「相対的に高い」と言う理由で淘汰されつつあるのです。日本の固有種保護も年々難しくなっています。

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