「戦後レジームからの脱却」などと声高に訴える安倍政権ですが、戦後レジームとは何でしょう一般には第二次大戦後の世界秩序を言いますね。ヤルタ会談、ブレトン・ウッズ協定、IMFなどが当たります。
実は第一次安倍内閣で彼らの言う「戦後レジーム」が定義されています。「憲法を頂点とした、行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的枠組み」だそうです。
つまり「戦後レジームからの脱却」とは安倍氏が言う所の、GHQに押し付けられた「いじましい憲法」を変え、戦後積み上げてきた雇用制度(ex:終身雇用・年功序列)・社会保障制度・税制・国内産業の保護・地方自治・貿易・防衛などを破壊すると言う事。そして新たな「自主憲法」を創り、自国民を守る為に築き上げてきた「良い規制」を無くし、市場をグローバル企業に明け渡すという事に他なりません。これは端的に言えば海外からの内政干渉を事実上認めるような行為です。つまり「自主憲法を創り、自主性を放棄する」という自己矛盾を孕んでいるわけです。
「規制緩和」という響きに騙される国民が多い事は大きな問題ですが、規制にはそれぞれ理由があり「良い規制」と「悪い規制」が存在します。国民や国内産業、社会秩序などを守る為の「良い規制」と、既得権益の創出や維持の為の「悪い規制」があるわけです。
既得権益を保有している政治家や大企業にとって邪魔なのはどちらでしょう?当然「良い規制」です。バイエル社にとっては日本の農業を保護する「種子法」や「種苗法」は?ヴェオリア社にとって水道事業参入障壁は?パソナにとっての派遣法は?TPPやFTAによって得をするのは?損をするのは?
結局、戦後日本で蓄積されてきた「歴史や哲学、社会構造」これらを破壊し、新たな既得権益構造の創造をするという事に他なりません。「戦後レジームからの脱却」自体を否定はしませんが、現政権下では民主主義の破壊へ繋がる危険性が非常に高いと言わざるを得ません。