戦後レジームからの脱却?

2020年3月1日

「戦後レジームからの脱却」などと声高に訴える安倍政権ですが、戦後レジームとは何でしょう一般には第二次大戦後の世界秩序を言いますね。ヤルタ会談ブレトン・ウッズ協定IMFなどが当たります。

実は第一次安倍内閣で彼らの言う「戦後レジーム」が定義されています。「憲法を頂点とした、行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的枠組み」だそうです。

つまり「戦後レジームからの脱却」とは安倍氏が言う所の、GHQに押し付けられた「いじましい憲法」を変え、戦後積み上げてきた雇用制度(ex:終身雇用・年功序列)・社会保障制度・税制・国内産業の保護・地方自治・貿易・防衛などを破壊すると言う事。そして新たな「自主憲法」を創り、自国民を守る為に築き上げてきた「良い規制」を無くし、市場をグローバル企業に明け渡すという事に他なりません。これは端的に言えば海外からの内政干渉を事実上認めるような行為です。つまり「自主憲法を創り、自主性を放棄する」という自己矛盾を孕んでいるわけです。

「規制緩和」という響きに騙される国民が多い事は大きな問題ですが、規制にはそれぞれ理由があり「良い規制」と「悪い規制」が存在します。国民や国内産業、社会秩序などを守る為の「良い規制」と、既得権益の創出や維持の為の「悪い規制」があるわけです。

既得権益を保有している政治家や大企業にとって邪魔なのはどちらでしょう?当然「良い規制」です。バイエル社にとっては日本の農業を保護する「種子法」や「種苗法」は?ヴェオリア社にとって水道事業参入障壁は?パソナにとっての派遣法は?TPPやFTAによって得をするのは?損をするのは?

結局、戦後日本で蓄積されてきた「歴史や哲学、社会構造」これらを破壊し、新たな既得権益構造の創造をするという事に他なりません。「戦後レジームからの脱却」自体を否定はしませんが、現政権下では民主主義の破壊へ繋がる危険性が非常に高いと言わざるを得ません。

安保と憲法9条

日米安全保障と憲法9条の間で、日本は常に微妙な立場を漂ってきました。軍隊を持たないという体(実際は安倍内閣が集団的自衛権を認めたので有形無実)ですから、当然ですが。国連の定義する軍隊は「自衛軍」なので「自衛隊」というのは確かに様々な矛盾を抱えています。

しかし現行憲法下において「自衛隊は違憲である」と考える人は、現実には極少数でしょう。極右の改憲推進派が方便に使うくらいだと私は考えています。実際に問題なのは、衝突が起きた際に「組織」ではなく「個人」が通常の裁判で裁かれるという事です。軍でない以上「軍法会議」で裁かれないので、個人(つまり命令した上層部ではなく現場の部下)が殺人などの罪に問われてしまう事があるのです。

私は法律は門外漢なのでよくはわかりませんが、安倍政権は法解釈を変え自衛隊の海外での戦闘も事実上解禁してきたわけです。米国からの独立に関しては日米安保つまり条約改定で、自衛隊員の責任問題は法律制定で十分にカバーできる様に感じてしまうのですが、違うのでしょうか?

憲法9条については、国産の防衛システムや国産戦闘機などの目処が立たない限り、手を付ける様な話には感じないというのが正直な感想です。

新自由主義からのレジームチェンジ

「戦後レジームからの脱却」ではなく「行き過ぎた新自由主義からの脱却」であれば両手を挙げて賛成です。

こういう事を言うと「社会主義者」とか揶揄する不思議な人がいますが、自由経済の中で格差が拡がり中間層が貧困層へとシフトしていくのは、社会全体に多大な損失と不安定化を招きます。

その部分を下支えし、底上げするのが国家の役割であり、そこを放棄するのであれば政府は存在価値の半分以上を失います。

「戦後レジームからの脱却」と言う美辞麗句に踊らされない様、本当に今の日本に足りない事、必要な事、転換すべき事を一人一人が具体的に意見を持たなければ、本当の意味でのレジームチェンジは起こり得ないのではないでしょうか。

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