物の値段は需給バランスで決まります。
最近であればマスクが高額転売されていたのは記憶に新しいですね。マスクを買いたい人(需要)が店頭のマスクの数(供給)より多かった為に起きたわけです。一方で数週間前には、原油先物がマイナスになるという異常事態もありました。コロナの影響で移動や経済活動の停止により「需要」が急速に減少し、供給過多になってしまったのです。
大切なのは需要の質と、供給力です。現在の様に多くの国民の所得が減少すれば選択の余地は減り、安いものを買う様になります。例えば金額を無視した場合、無農薬の国産野菜と遺伝子組換え農薬まみれの輸入野菜、どちらを買いますか?日頃「選んだ」のではなく「選ばされている」事が分かるかと思います。
「自己責任論」で所得が少ないのはあなたの努力が足りないからだと切り捨てる方々がいますが、国のGDPが20年横這いというのは極めて異常な状態です。マクロで異常が起きているというのは、政府の失策なのです。全体のパイを広げずに所得を増やすのは、誰かのモノを奪うゼロサムゲームです。他の先進国はこの20年で1.6倍〜2倍程度GDPを成長させています。ですから奪わずとも社会全体を底上げする事ができます。
購買力の平均値が下がると言う事は、需要の質を低下させます。高品質なモノより低価格を優先してしまいます。結果、人件費の安い国の輸入品と価格競争をさせられ、伝統や文化など「失えば取り返しのつかないモノ」を失うのです。今回のコロナで老舗と呼ばれる店が次々と廃業に追い込まれています。一方でamazonなどの大手ネット販売は活況です。世界が画一化される様であまり気持ちの良い話ではありませんね。