勘の良い方なら気付いたでしょうが、政府が発行した国債を日銀が市中銀行から買い取った場合「政府は日銀に借金をしている」状態ですよね。では日銀にその借金を返す事にどんな意味があるのでしょう・・・
分かり易い様に諸経費・利息類無視で考えてみましょう。また実際は日銀当座預金上でのデータの上書きなのですが、可視化する為に全て1万円札で置き換えます。
[政府0、日銀0、市中銀行1万円 ]
1.印刷局が日銀に1万円札納品
[ 政府0、日銀1万円札、市中銀行1万円 ]
2.日銀は市中銀行に紙幣を発行(原価24円を無視すると1万円の利益)
[ 政府0、日銀1万円 (利益1万円)、市中銀行1万円札 ]
3.市中銀行はその1万円札で政府から国債を購入
[ 政府 1万円札、日銀1万円(利益1万円)、市中銀行 国債1万円 ]
4.政府は1万円分の公共工事をする
[ 政府0、日銀1万円(利益1万円)、市中銀行 国債1万円、民間 1万円札 ]
5.その国債を日銀が購入
[ 政府0、日銀 国債1万円(利益1万円)、市中銀行1万円、民間 1万円札 ]
5.政府が国債を買い取る(償還)
[ 政府 0、日銀0、市中銀行1万円、民間 1万円札 ]
※日銀の余剰利益は国庫(政府)に戻るので結果として国債と相殺され、民間に1万円が供給された。
政府が通貨発行をし、民間の力を活用して国富を築く。その結果紙幣の流通が実現される。極めて一般的なプロセスです。「円が増えれば円の価値が下がる」という人達もいますが、これには条件が付きます。「市中に流通すれば」そうなりますが、例えば日銀が保有する国債を償還する為に通貨を発行したとすれば、その分の通貨は流通に乗るでしょうか?国債と共に相殺されれば帳簿から消えます。
税金はこの市場に出回った1万円札を、政府が回収する行為です。もし市場に出回りすぎているのなら円の価値は下がり、インフレとなっているはずですが現実はほぼデフレです。また個人消費も伸びていないわけですから、格差が拡大し現実のお金の流通量は足りていないのは明らかで、淀んだ水溜まりが大きくなっているだけなのです。水の量を増減させる事は市中銀行にも可能ですが、その容器のサイズを大きくできるのは政府だけなのです。