• 土. 4月 27th, 2024

連日ミャンマーの惨状が報道されています。治安部隊と言う名の殺人者達が街中を闊歩する様子には恐怖すら感じます。

何故こんな事態になったのか

これを理解するにはまずミャンマーの歴史に軽く触れておく必要があります。

かつて英国の支配下にあったミャンマーですが、かつてアウン・サン・スーチーの父も率いていた国軍が重要な役割を担う中、1948年に独立を果たします。後に国軍の起こしたクーデターにより社会主義体制が敷かれ、その後高まった民主化の波も国軍に鎮圧され本格的な軍政が始まります。1988年にも再び民主化の波が訪れますが、民衆のデモに対し国軍は無差別発砲を展開し多数の死傷者を出します。今回と似ていますね。同じ年に国軍は新たな軍事政権を樹立し弾圧を強化。民主化の象徴であったアウン・サン・スーチー氏を軟禁。しかし翌年にスー・チー氏がノーベル平和賞を受賞した事で風向きが変わります。国際世論がミャンマーへの批判と制裁を開始します。

2008年にようやく民主化に前進する新たな憲法が制定されます。しかし内容的には国軍の権力を保持し、民主化の象徴であるアウン・サン・スーチー氏はトップに着けない仕様になっています。(恐らく国軍側としては選挙で大敗する事は想定していなかったと思われます)。この憲法ですが改正には全議員の75%の賛成が必要で、国軍議員が25%確約されている以上改正は非現実的です。2010年解放されたスー・チー氏が政治活動を開始。

2015年、2020年とスーチー氏率いるNLDが選挙で勝利したわけですが、特に2020年の選挙では80%を超える議席数を獲得しています。国軍からしたら焦りますよね・・・そこで「選挙の不正」を叫び出します。結果的にいわゆる非常事態宣言を一方的に宣言し、今回のクーデターとなり三権は国軍の最高司令官に握られました。「軍事独裁政権に引き戻された」と言う表現が一番しっくりくるでしょうか。

国軍と国営企業は既得権益でズブズブの関係と言われていますが、民主化の流れの中で民営化を進めようとするNLDは国軍関係者からは消えて欲しい存在なのでしょう。つまり「国を守るため」でも「国民を守るため」でもなく「自らの既得権益を守るため」に起こしたクーデターなのです。

権力が人間に及ぼすもの

「人は得られない事よりも失う事を恐る」

権力や既得権益を失う恐怖を感じると人は常軌を逸します。今回ミャンマーで起きている惨劇もまさにそれです。翻って我が国の政治はどうでしょう?既得権益に群がる政治家や官僚、権力に阿る経済団体。結果的に原発もあの調子です。今回のコロナ禍でのGoTo強行や、オリンピック開催の為のコロナ矮小化や遅々として進まない検査拡大など常軌を逸しています。既得権益の為なら嘘もつくし人の命も顧みない、そんな政治がもう何年続いていますか?

我が国の某政党の憲法改正草案には「緊急事態条項」が加えられています。この発想はまさにミャンマー国軍が、自らの支配権を保障する為の伝家の宝刀であり、独裁を目指す者達が必ず欲するモノです。

「日本ではあり得ないよね」等と高をくくっていれば、早晩取り返しのつかない事態になりかねないと肝に銘じておくべきでしょう。それほど「権力」のもつ魔力は強大なのです。

解決の糸口はあるのか

現在報道される映像を見る限りでは、国軍はもう後には引けない処まで来てしまった感があります。1988年と同様、無差別に自国民を大量に殺しているわけですから正当性など1mmもありません。国際的な圧力が期待されますが、中国はミャンマー国軍との関係が良好な上に人権問題を共に抱えている為、圧力を掛ける気はサラサラ無いでしょう。本当に八方塞がりの中、毎日ミャンマー国民が殺され、国を脱出し、時間だけが過ぎて行きます。ミャンマーの国軍、NLDの双方にパイプを持ち経済協力もしている日本政府には、もう少し出来る事があるのかもしれません。たまにはマトモな外交的成果を見せて頂けないものでしょうかね、日本政府さん。

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