• 土. 4月 20th, 2024

先日、福島で被災し自主避難された方達へ、宿舎からの退去命令及び退去しない場合は家賃2倍の請求を行う旨の通知がなされました。2年前には無償住宅提供も一方的に打ち切られましたね。行政の判断には憤りすら覚えます。

そもそも2年や5年で仮設から退去させるなど、杓子定規な対応には唖然とします。私の住む場所も隣町が数年前に豪雨災害に会い、多数の被災者を出しました。彼らも2年で仮設住宅から強制退去を通知されました。しかし被災地では、川や道路の工事も始まってさえいないエリアもあります。一体どこに戻れと言うのでしょう?

西日本豪雨では大学時代からの親友一家が、熊本地震では元同僚一家が被災しました。今は誰が突然被災者になるかわからないのです。つまり今、被災者に対し行政がやっている事は、近い未来に自分に降り掛かる事だと真剣に受け止める必要があるのです。

福島の場合、更に大きな問題が

復興が1日も早く進み、元の生活に戻れる事を願って止みませんが、同時に私は不安も覚えます。それはやはり福一の問題です。被災された方達の中には、政府の基準値緩和で見かけ上の解決を進めるやり方に賛同される方もいらっしゃるでしょう。しかしそれはあまりに危険だと感じてしまいます。

チェルノブイリのケース

1986年ウクライナで起きた原発事故。INESレベル7の酷い事故です。現在も半径30km圏内は居住禁止。350km圏内のホットスポットと周辺地では農・畜産業は現在も禁止。健康被害は被曝が原因と断定できない為、あえてここでは記載しません。しかし客観的事実として甲状腺癌54倍、甲状腺腫44倍、結節55倍など事故前との比較は記載しておきます。

長期的な自然への影響は、事故の直後においては放射性ヨウ素、今日では、半減期が約30年のストロンチウム90セシウム137による土壌汚染が問題になっています。セシウム137は土壌の表層にあり、それが植物、昆虫、キノコなどに吸収され、食糧生産サイクルに入り込みます。この区域内の木の中のセシウム137のレベルは今も上がり続けているとの調査結果も出ています。汚染が地下帯水層や、湖や池に移行しているといういくつかの証拠も公表されています(2001年Germenchuk)。雨や地下水など移動する水については、セシウム137がバリウム137へ自然崩壊する為、減少しているそうです。(wikipedia)

政府は50km離れた場所に街を作り、多くの住民をそこへ移住させました。

福島第一原発のケース

チェルノブイリと同等のINESレベル7(最高レベル)の事故。2006年にはIAEAから防災強化の進言を受けるも安全委員会が拒否、翌2007年にIAEAから安全対策を指示された東電も何もせず、2009年には国内からも早急な津波対策を指示された東京電力はそれも拒否。東電は高い広告費を払い電通と共に原発の安全性を殊更強調し、1980年代から「原発=安全」という根拠のない情報操作を繰り返した。その中には、原発反対や安全性への不安を訴える人々を攻撃する物も数多く存在し、反原発を訴え難い世論形成を行ってきた。(※これは現在の沖縄基地問題でも同じ事が行われています)

そしてその2年後に事故発生。

当時の民主党政権下で事故直後の対応が悪く、タイムリーな情報開示が行われませんでした。「SPEEDI」の情報は、日本国民には知らされず、外務省から米国には知らされていた、つまり福島や周辺県の方達の多くが被曝のリスクに晒されたのです。その後もタイムリーな情報開示をしない日本政府に対し、世界中から非難が殺到し業を煮やした複数の国際機関が協調監視体制を敷きました。政府の指定した非難地域外の飯舘村で、高濃度の放射性物質を検知したIAEAが日本政府に住民の避難を勧告。翌月、避難地域へ指定されました。更に重要なのは受電鉄塔倒壊や電源喪失は津波ではなく、その前の地震によるものとの調査結果も出ている事です。また原発メーカー、電力会社共に過酷事故対策など何も考えていなかった事も判明。何を持ってことさら「安全」と吹聴していたのか疑問が持たれます。事故後、民間有識者による独立検証委員会にて、関係者約300人から聴取を行ったが東電関係者はこれも拒否。

ここまでの流れを見ても、天災であると同時に人災である事がよくわかります。因みに誰一人責任を取っていません。また原子力委員会が提出した最悪シナリオでは、首都圏含め5000万人の避難者を出す可能性があったと認めています。人口の40%ですよ。

チェルノブイリでは55万 Bq/m²以上のセシウムが検出された地域は強制移住でしたが、飯舘村は約326万 Bq/m²。また周辺地域の反応もおかしなものです。茨城県は漁組の検査要求を拒みその理由を「県産の水産物から基準を超す放射性物質が出れば、今後に影響する。」としています。茶葉でも殆どの周辺自治体が線量測定を拒否。原子力災害対策特別措置法により出荷停止となりました。その後、静岡でも線量検査に引っ掛かる茶葉も複数見つかり、フランスへ出荷した茶葉も現地の検査で焼却処分となりました。何故日本で出荷出来た物がEUでは駄目だったのか?

国はそれまで採用していたWHO基準ではなく、新たな暫定基準を採用しました。ただこの基準がとても「安全基準」には見えない為、風評被害を助長させました。先ほど挙げた自治体の隠蔽体質も同じですが、結局平時とのギャップがあり過ぎれば疑念や反発を生むのです。そういう意味でも、風評を産んだのは国や自治体の対応に大きな原因があると思います。

現在は暫定基準から、新しい基準へ移行しています。それがこちら。

だいぶ減った感じがしますよね。ですが事故前の一般食品基準値は「10」でした。つまり10→500→100という推移なのです。この数値設定もまた風評を再燃させる原因でした。今まで国が低レベル放射性廃棄物に設定していた数値「100」を、一般食品の基準とした為、「廃棄物レベルのモノを食べさせるのか!」となったのです。

また被曝基準の疑念も燻ります。チェルノブイリでは年間5ミリシーベルト以上は危険なので強制退去。福島ではこれが20ミリシーベルトまでOKとなっています。ちなみに事故前の基準は年間1ミリシーベルトでした。こうした基準の変更が、消費者の不安を煽り風評被害へと繋がるのです。

政府は被災者の生活を補償しませんか?

「風評被害だ」「被災地の物は食べないと言ったアイツのせいだ」など被災地の方達のやり場の無い気持ちは理解できます。しかし冷静に考えて下さい。スーパーで牛乳を買う時、一番前のモノを買う人もいれば、賞味期限の長いモノを選んで買う人もいます。同じように被災地のモノは買わないという人もいれば、率先して買う人もいます。利害関係が無いからこそ、「組織」ではない「個人」は自分の意思や良心で行動するのです。「原発廃止を訴える人」と「被災者」の対立構造を作って、ほくそ笑んでいるのは誰か冷静に考える必要があります。

風評被害を作り出しているのは「メディア」や「政府」です。つまり自分達の責任を見え難くする為のプロパガンダです。もし被災者の方達に、安心して住める場所と仕事が提供されていたらどうですか?おそらく風評被害自体それほど大きくならなかったと思います。その責任があるのは先ほどの彼らです。しかし相も変わらず政府は東電に9000億/年の補助金を入れ、東電はメディアに馬鹿げた広告費を払い、メディアはスポンサーである経団連の意向に沿った扇動番組を作り、経団連は政府に献金し、政府は見返りに企業優遇をする。政府は東電に金を回さず、被災地の方達の生活再建と真剣に向き合うべきです。

余談ですが、私は福島の事故が起きた後、会社の同僚と義援金を送ろうと、70人程の署名を集め社長に提出し「社員も出すので、会社からも出して欲しい」と訴えました。しかし社長および役員全員に拒否され、結局個人で数回義援金を送らせて頂きました。同じ様な情報を持っていても、それに対するリアクションはそれぞれなのです。特に個人と組織では真逆の行動になりやすいのです。

話は戻りますが、チェルノブイリの話で一つ気になりませんでしたか?

そう「政府が避難区域外に街を作り、住民を移住させた」というところです。何故日本政府はこれをやらないのでしょう?建設国債を発行し、大規模な工事を行う。被災地や被災地周辺県の企業に発注し住宅建設や、農地の開拓など国が音頭を取って進めれば良いのです。F35を大人買いしたり、避難者を公営住宅から追い出したり、東京が被災しなくてよかったなんて言ってる場合じゃ無いんですよ。

被災された方達の住まいと仕事を国が補償しないで、何が復興なのでしょう?福島原発は発電量のほとんどを東京が消費してきました。東京都こそが、福島の農産物や水産物を率先して買入れ、消費する義務があるのではないでしょうか?オリンピックに馬鹿げた金額を使っている場合なんでしょうか?横浜も市民の反対を無視して、スガ官房長官の一声で「カジノだ!」などと言い出していますし、首都圏の「組織」の方達は復興の意識本当にあるんでしょうか?

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