昨日、山本太郎氏が都知事選立候補表明会見をしています。
興味深い会見
私は国政政党としては「れいわ新選組」の掲げる政策が自分の思想に一番シックリくるのですが、今回の都知事選出馬で政策をどの様に都レベルに落とし込んでくるのか興味が有りました。実際に現時点で掲げられた8つの公約を見てみましょう。昨日の会見を見られて無い方はまずこちらを。
8つの公約
1.東京オリンピック・パラリンピック中止
これは意見の分かれる所かもしれませんね、私は大賛成ですが。東京オリンピック立候補からどれだけの問題があったか思い出してください。賄賂買収問題・エンブレム盗作・競技場設計変更・暑さ対策・北海道会場変更・海の汚れ・予算の膨張・会長退任etc・・・の挙句のコロナです。各国が長期戦を覚悟し「コロナ後の在り方」を模索する中、「来年には世界中で終息し今迄通り」とはいかない事は多くの人が感じていると思います。そもそもオリンピック自体、米国の放映権料と利権の祭典に成り下がっておりオワコンです。純粋にアスリートの姿を見るのであれば、毎回ギリシャの同じ場所でやれば良いのですよ。
2.コロナ損失を起債15兆円で底上げ
ここが宇都宮氏との決定的な差で有り、出馬を決めた最大の要因でしょう。宇都宮氏は非常に良い候補者です。しかし財政問題に関しては所謂主流派経済学の思考で起債を嫌がる傾向にあります。今回の様な緊急時、他の先進国では財政上のイデオロギーは一先ず脇に置き、多額の国債発行で救済に奔走しています。翻って我が国では真水はみっともない額で、国は国民を救う意思があるとはとても思えません。そんな国に対し圧力を掛ける事は非常に重要だと思います。正直、ここだけでも彼に投票する価値はあります。
3.都の職員3000人増員
ロスジェネやコロナ失業の人達の受け皿を、都が率先して作るという事で良いのではないでしょうか。東京であればJGPの様な運用でも良さそうな気はしますが。
4.住宅の確保
住所が無い事で就職や、今回の給付など不利益を被っている人々に低廉な住宅を都が用意する。これも今回のコロナの件で収入が途絶え家賃が払えずに追い出される人が出ている事を考えると、困窮しても最低限の食と住は行政が手を差し伸べる環境というのは必要でしょう。
5.PCR検査拡充と医療体制の充実
この20年程で保健所は削減されてきました。病床数などもそうですが「無駄を省くのが正義」の如く、非常時の為に保持しておく必要のあるモノをこの国は次々削ってきました。合理的、採算性、利益優先、そんな掛け声のもとで新自由主義が跋扈し、一歩つまづくと立ち行かなくなるシステムを構築してきたのです。これは「無駄だから医療保険も自動車保険も入らない」と言うようなもので、入院や事故にあった時に地獄を見るわけです。
6.災害から都民を守る
昨年の台風による水害は記憶に新しいですが、首都圏直下地震の発生可能性が高い事は周知の事実です。災害は備える事が大切で、災害時に一箇所で全体をカバーする事は現実には不可能です。交通や通信が遮断されるわけですから。その為、細かいグリッド毎で独自に対応できる仕組みを作っておく必要があります。近年、気候変動に伴う自然災害の増加を鑑みれば、東京以外のエリアも同様の取り組みが急務でしょう。
7.当事者がルール作りを主導する
商業施設などで身障者用駐車場があるのに、店内は階段が多用されている様な事があります。あるいは身障者用トイレがあるのに鍵の位置が高くて届かないとか、スロープが急すぎるとか。結局、設計段階で当事者が加わらなければ机上と現実で乖離が起きるのです。同様に障害者の抱える問題は、障害者の方が理解し易いですし、端的に言えば「痒い所に手が届く」対応が可能であろうと推察できます。
8.保育所や介護職など待遇の改善
コロナの状況下においても、リスクを冒してでも動き続けなければならない職種があります。こういった働き手に対し自衛隊員に支給される危険手当と同等の補助をすると言うもの。これについては金額の多寡はあるでしょうが、基本的には危険手当を出すべきでしょう。ひたすらボランティアや自己責任でやらせようとする、現在の国や行政の在り方に対して真っ向から疑問をぶつける政策ですね。
票を食い合うと言う意見
「宇都宮氏と票を食い合って、小池氏が利するだけ」と言う意見があります。果たしてそうでしょうか?この意見は野党票は固定と言う前提に立っています。そもそもこれでは勝算はないですよね?一本化だけで勝てる程、選挙は甘くないと思いますよ。
まず現状分析として、山本氏が出馬表明する前の時点で「小池氏圧勝」と言う各種調査結果が出ている事はご存知でしょう。この調査の際、山本氏の支持者は「山本氏が出なければ宇都宮氏に投票しよう」と考えた人が多かったのではないでしょうか。つまりこの調査結果は「野党統一候補:宇都宮氏」として出馬した場合の結果予測なのです。
これをひっくり返すには、投票率をあげる事に加え小池氏の票を食う必要があるのです。小池氏の支持層と宇都宮氏の支持層で重なり合うカテゴリーはあるのでしょうか?無ければ食う事は難しいです。元々、完全に棲み分けがされていないですか?選挙を盛り上げる仕掛けは?自公だけでなく立憲の支持母体である連合も小池氏支持との話もあります。正直、野党統一候補:宇都宮氏で小池氏に勝つのはイメージができません。宇都宮氏は良い候補者ですし、都民が政策を見てマトモな判断をできるならばそもそも違う調査結果が出ているはずです。歴代の都知事を見ればミーハーな層が結構いるのであろう事は分かりますよね。政治に興味の薄い層へのアプローチが可能かどうかは都知事選においては非常に重要だと思います。
山本氏が出馬する事で宇都宮氏の票が一部山本氏に流れるのは確かでしょう。しかしそれは「山本氏が出馬しなければ」と言う条件付きで宇都宮氏を支持していた層です。その数よりも小池氏の削られる票の方がかなり多いと思います。山本氏が選挙自体を盛り上げる事ができれば、投票率が上がり野党候補にとっては追い風になる可能性が高まりますから、「票を食い合う」と言うのは私は違和感を感じます。
私はマトモな都知事を見てみたい。山本氏でも宇都宮氏でも今の何倍も良い都知事になるでしょう。都民の皆さん、正しい判断を期待しています。